11月24日の日記

2007年11月24日 日常
 不安な気持ちを隠す術を私は知らない。

 最も私は、自身の不安の全体を自分自身で捉えることさえ出来ない愚か者であるから、その片鱗さへも模糊としている。
 
 もし私が自分の心を姿見で見ることが出来たとしたら、そこに映る何か形のない、色のない希薄な物体に怖気を感じるのかもしれないけれど、その姿も言ってみればただの自己投影でしかないのだから、真実かどうかはまた別の話になる。

 曖昧さはどこにでも付き纏い、一見すると頑丈そうな鉄筋の建築物も蓋を開けてみれば偽装された紛い物なんて話で最近の世間は盛り上がっていた。
 
 確固たる自己像もありはしない私に、自己の内面を推し量る術なんて本当のところないに違いないけれど、それでも漠然としたものに不安がる、あるいは不安そうな装いをすることは、いったい誰に対して見せている公的自己なのだろう。

 別に悲しくもないし、不安に思うこともホントはないのかもしれないと、楽観視しすぎると、つまらないと感じるから、思案顔で面前に表れてはいるけれど、結局のところ中身の入っていないペットボトルのようなもの。
 ラベルだけキレイにしてみたって、中には何も入っていないだろうし、もしかしたらその中身は不純物や化学物質まみれのケバケバしい偽りなのかもしれない。

 それでも明日の午前4時を回ると、日も昇る前から3軒先の鶏は鳴きだすし、対抗するかのように向かいの犬は喚き始める。鬱陶しくも騒がしい声を聞いているうち、西の方から烏の鳴き声が聞こえてくる。それも夢うつつに聞いているといつの間にか空は藍と朱のまじわいを呈した後、冬の柔らかな日差しの仮面を被った凍て付く空を用意する。
 
 そうやって1日は始まって、いつの間にか今日も私は生きていて。まるで不満もないような、不満しかないような傍迷惑な自分を演じる。

 本当の自分?

 そんなもの最初からなかったわ。

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